最近では定年を迎えても
再雇用される事が増えていますが、
今は特別支給の老齢厚生年金があるので、
年金を貰いながら働いている方も
多くおられます。
その場合には、一見すると二重の収入が
あるように感じられるので喜ばしいものの、
実は在職老齢年金という制度があるため、
働くことを躊躇する方もいるのが実情です。
実際にFPである筆者は、
定年での再雇用に伴う年金の相談を
受けた事もありますよ。
そこで今回は、
定年で再雇用された時の年金について
お伝えします。
あなたの老後に、お役立て下さいませ。
在職老齢年金とは?
在職老齢年金とは、簡単に言えば
「年金と給料の合計額が多い人については、
年金を一部、または全額支払い停止にする」
という制度です。
具体的に言えば、
年金と給料の合計額が28万円を超えると、
少しずつ減額される事になります。
また在職老齢年金は、
65歳を超えて働く場合にも適用され、
その場合には年金と給料の合計額が
46万円を超えると、同様に少しずつ
減額されるので、注意しましょう。
在職老齢年金でいくらもらえるの?
在職老齢年金というのは、けっして
「在職老齢年金」という年金が
貰える制度ではありません。
あくまで(特別支給の)老齢厚生年金と
給料の合計額が先ほどの一定金額を
超えた時に、老齢厚生年金が
減額される制度になります。
だからこそ、中には極端に
「働いたら損」などと考える方も
いる訳ですが、言い換えれば一定金額を
超えなければ関係ない制度ですから、
計算の上で働いた方が得です。
在職老齢年金の基本月額とは?
在職老齢年金の基本月額とは、簡単に言えば
「年金額の年額を12で割った金額」です。
この金額と、給料(年収を12で割った金額)
の合計額が先ほどの一定金額を超える時に、
在職老齢年金が適用されて
年金額が減らされる事になります。
ちなみに、ざっくり一例をお伝えすると、
基本月額18万円の方が給料30万円を
貰う場合は、およそ10万円が支給停止され、
8万円の年金となる計算です。
また同じ方の場合、およそ
46万円を超える給料を貰う場合は、
年金が全額停止となります。
在職老齢年金はいつからいつまでもらえる?
繰り返しですが、在職老齢年金は
「貰える年金」ではなく
「減らされる年金」です。
そして在職老齢年金は、
厚生年金保険のある会社で働きながら
年金を貰う場合、
いつまでも適用されてしまいます。
生涯働く前提の今の世には、
そぐわない制度かもしれませんね。
ちなみに在職老齢年金の対象となるのは、
あくまで「(特別支給の)老齢厚生年金」
だけで、老齢国民年金の方は対象外ですから
少しだけ安心しましょう。
なお、再雇用の社会保険が気になる方は
以下の記事も参考にどうぞ。
色々気になりますよね。
在職老齢年金のメリット&デメリット
在職老齢年金は、言ってしまえば
「運営側(国)の(財源の)都合」です。
年金財源は苦しいし、
充分な給料もらっているなら
年金減らしてもいいよね…
という理屈になります。
もっとも、表向きは
「年金は老齢で働けなくなった人に
対する保険的給付」ですが…。
しかし一方で、これが現実だからこそ、
若い方は年金をアテにしない
ライフプランや対策を取った方が
合理的と言えるのかもしれません。
在職老齢年金のメリット
在職老齢年金には、ハッキリ言って
メリットはありません。
ただシンプルに、
受け取れる年金が減るだけです。
一応、
厚生年金の加入期間が増える事によって、
それだけ受け取る年金額が増える点は
メリットといえますが…。
ちなみに、高給をもらって
支給停止になった部分の年金については、
「繰り下げ支給」の対象外になりますから、
やはりメリットは感じにくいでしょう。
在職老齢年金のデメリット
ここまでお伝えした通り、在職老齢年金は
「年金が減らされる」点が
最大のデメリットです。
また、これを回避するには
「自営になる」または
「(厚生年金対象外の範囲で)バイトする」
等が対策とされていますが、
その場合は別途、
健康保険や配偶者の年金が問題となります。
もっとも、最大の対策は
「年金に頼らない生涯現役労働」とも言え、
そしてこれを国も推奨している時代ですから
望む望まないに関わらず、
準備をしておいた方が無難です。
定年の再雇用は年金手続きに注意!
定年の再雇用においての
年金手続きそのものには、
特に注意する事はありません。
ただ、例えば今まで
専業主婦の奥さんがいたような場合には、
厚生年金に加入しなくなる事で別途、
年金保険料の支払いが
発生することがあります。
また厚生年金に加入しなくなるという事は、
同時に健康保険にも加入しなくなる
可能性があるので、その場合には別途、
国民健康保険への加入手続きが必要です。
まとめ
気になる方は動画もどうぞ。
今回の記事では、
年金が減額される在職老齢年金について
様々な角度でお伝えしました。
ちなみに在職老齢年金は
単純な損得では測りにくい側面があります。
損得以上に、その後のライフプランを考え
それに合わせて働いていきましょう。
なお、定年の年齢引き上げが気になる方は
以下の記事も参考にどうぞ。
⇒定年退職の年齢引き上げ!助成金のメリット&デメリットとは?
いつまで働けるでしょうか…。